九月十日 2009/09/16 (Wed)

菅原道真が作った漢詩に『九月十日』という絶句があります。大宰府に左遷された道真が去年の今夜天皇の御前で歌った歌を思い出して作った詩です。
その歌は、決して、明るい良い歌ではなく、自分のその時の悔しさや辛さを歌ったものでした。ところが、天皇はその歌をいたく気にいって下さり、その時 お召しになられていたご自分の着物を道真に下ったのです。その着物を今日も飾って、天皇の残り香を匂っています。というような内容です。辛さや悔しさや悲しみといった感情はもし共感してくれる人がいれば、それは強い絆に変わるのかもしれません。
絆という報酬は 大きな価値です。そういう意味では道真は幸せだったかもしれません。